つくり手の技術が光る、一乗寺中谷ならではの味わい
宮本武蔵の下り松の決闘で有名な京都洛北一乗寺。古くから比叡山延暦寺へと続く参道で、旅人を優しく見守ってきた土地。鹿おどしが響く庭園で知られる詩仙堂や、曼殊院、圓光寺など、見所が多く集まるエリアにたたずむ、和菓子処一乗寺中谷。三代にわたり、一乗寺の郷土銘菓でもある「でっち羊かん」をはじめとして、数々の郷土にちなんだお菓子を作り続けている和菓子の老舗です。
伝統的な和菓子の他、パティシエとして経験を積んだ若女将が手掛ける華やかな洋菓子も人気。和菓子職人ならではの御主人の技術や知識と、若女将の洋菓子のアイデアにより生まれた和と洋を融合させたスイーツは、一乗寺中谷ならではの味わいです。
京町屋をイメージさせる建物は、時を刻むほどに味わいを感じさせる佇まい。懐かしい雰囲気のカフェスペースでは、お店で販売されている和菓子・洋菓子はもちろんのこと、和と洋のエッセンスが織り交ぜられたパフェやご飯ものなど、ほっと一息つきながら様々な京の味を楽しめます。
丁寧に作られた和菓子の詰合せ
「一乗寺中谷 銘菓詰め合わせ」は、一乗寺中谷を代表する和菓子のでっち羊かん、詩仙もち、武蔵の詰合せ。一乗寺中谷の和菓子を一度に楽しめます。
「でっち羊かん」は、甘さ控えめでもっちりとした食感。どこか懐かしい味わいです。江戸時代より一乗寺村の若人衆が、滋賀の日吉大社の祭の輿かきに出向いた際に、弁当がわりに用いたのが起こりと伝えられており、「丹波から直接仕入れた大納言小豆を使い、あっさりとした高級白双糖で粒あんを作って米粉と練り合わせ、竹の皮に流して蒸し上げる」という伝統製法を守っています。丁寧に手作りされており、今日でも一乗寺銘菓として広く親しまれています。
「詩仙もち」は、柔らかに炊き上げた求肥が、口の中で餡と同時にとろけるように作られた、職人自慢の逸品。しっとりときめ細やかなこし餡が詰まったものと、柚子をペーストにして炊き上がりに柚子コンポートを加えた柚子餡の2種類。詩仙堂のやわらかな季節の移ろいを感じさせるような、やさしい口どけのお菓子です。
「一乗寺下り松 武蔵」は、香ばしく焼き上げた生地に栗入のこしあんが詰まっており、まろやかな味わい。こし餡はきめ細やかで、しっとりほっくりした栗の味を引き立てています。
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創業以来、一乗寺に昔から伝わる「でっち羊かん」をはじめ、数々の郷土にちなんだお菓子を作り続けています。昔からの伝統を守りつつも、時代にあったお菓子を生み出していくという思いで日々研鑽しております。和菓子屋の息子である私が料亭で板前として修業を積み、豆腐料理屋の娘である妻がパティシエとして修業を積んだ経験が、現在の和洋折衷菓子を生み出しています。
これからも、パティシエの若女将が洋菓子のアイデアを出し、和の部分には若旦那が和菓子職人ならではの技と知識を活かして形をしあげ、中谷でしか生まれ得ないスイーツを作り続けていきたいと思います。
(一乗寺中谷 三代目 中林 英昭)
一乗寺中谷を代表する和菓子のでっち羊かん、詩仙もち、武蔵を一度に楽しめる詰合せ。でっち羊かんはもっちりとした食感と控えめな甘みがくせになる味わい。