

江戸時代から受け継がれる技法が編み出す、繊細な優美さ
駿河竹細工は、籠枕が東海道を行く参勤交代の諸大名に人気を博したことなどもあり、江戸時代初期頃よりその評判が広がっていったといわれています。
駿河竹細工の中でも最も特徴があるといわれる「駿河竹千筋細工」は、安政の頃までに今日の礎が確立したと伝えられています。名前にある「千筋」とは、畳の幅3尺(約90cm)に千本並ぶほどという意味で、それまでの竹細工とは違い、丸く削った細い竹ひごを組み合わせるとても繊細な竹細工です。明治6年に日本の特産品としてウィーンの国際大博覧会に出品された際には好評を博し、以後、日本を代表する輸出品として海外の脚光を浴び、発展を重ねてきました。
竹は繊維が強く丈夫であり、また弾力性にも富む特性があります。その特性を理解し編み出された技法を受け継ぎ、発展させてきた今日の「駿河竹千筋細工」は、しなやかで柔らかく、繊細な優美さを醸し出しています。

直線と曲線が織りなす、美しい模様の行燈
行燈というと丸い形状をイメージする方が多いかと思いますが、四角型にし側面部分を駿河竹千筋細工の技法で仕上げたのが「照陽(しょうよう)」です。細い丸ひごを曲げ、真ん中で重ね合わせることで、立体感のある美しい模様を形作りました。駿河竹千筋細工特有の丸ひごの柔らかな曲線が、和紙を透した灯りを受けて浮かび上がり、優しい光をともします。
和室だけでなく、フローリングやソファのある生活空間にもマッチしますし、日中もオブジェとしてお楽しみいただけます。ぜひやわらかな光の中での暮らしをお楽しみください。
- 古来より静岡・府中を流れる安倍川、その支流の藁科川流域は、良質の若竹、淡竹を産してきました。弥生時代の登呂遺跡からの出土品には竹製のザルやカゴがあり、当時から生活に根差していたと考えられています。そして江戸時代には籠枕が参勤交代の諸大名に人気を博すなど、この頃より駿河竹細工の名声は広がっていきました。
駿河竹細工の中でも最も特徴があるといわれる、丸ヒゴを使った「駿河竹千筋細工」は、安政の頃までに今日の礎が確立したと伝えられています。明治6年には、日本の特産品としてウィーンの国際大博覧会に出品し、好評を博し、以後、日本を代表する輸出品として海外の脚光を浴び、発展を重ねていきました。
「駿河竹千筋細工」は、国の伝統的工芸品に指定されています。江戸時代から受け継がれる技法を守りながら、多様化するお客様のニーズにお応えできるよう、組合員一同が日々精進努力し、より良い作品作りに全力を挙げています。
職人の手が生み出す繊細で優美な技の華を感じて頂ければ幸いです。
(静岡竹工芸協同組合 代表理事 杉山雅泰)
伝統的工芸品である駿河竹細工の技法で仕上げた行燈です。四角い型と丸ひごの柔らかな曲線が特徴で、灯りがともっていなくても楽しめます。