

駿河竹千筋細工の繊細な優美さ
駿河竹千筋細工の特徴は、丸く削った細い竹ひごを組み合わせる繊細さにあります。名前にある「千筋」とは、畳の幅3尺(約90cm)に千本並ぶほどという意味であり、ひご作りが要となります。
工程はほとんどが手作業です。竹材の仕込みに始まり、鉈などを使って小分けにする「割り」や厚みを薄く裂いていく「へぎ」、さらに細かく竹を裂いていく「くじき」などの様々な工程でひごは作られます。それを小さな穴に通してさらに削っていく「ひご引き」によって、駿河竹千筋細工のひごは完成します。
竹は繊維が強く丈夫であり、また弾力性にも富む特性があります。そのため完成したひごは直線のままのほか、曲げることもでき、多様なデザインを形作ることが可能です。職人が丁寧に作った細い竹ひごを様々な形に組み立てることで、駿河竹千筋細工の繊細な優美さが生まれるのです。

美しく並ぶ竹ひごで富士山を表現する
世界遺産でもある、日本を代表する霊峰富士山。噴火を繰り返す成層火山の形成過程で形作られた、対称に近い円錐型、様々な芸術の題材とされてきたことからもわかるように、その象徴的で際立った美しさをイメージされる方もされる方も多いと思いのではないでしょうか。
この「駿河竹千筋細工 花器 真富士(本山茶染花瓶敷付)」は、駿河竹千筋細工の技法でそんな富士山の美しさを表現した商品です。すらっと伸びた丸ひごを使い、高さとその稜線を形作っています。また伝統的工芸品を身近に感じ、触れて頂きたいという想いから気軽に楽しめる一輪挿しに仕立てています。
清流を表す花瓶敷きは、静岡の銘茶、本山茶を煮出して染めた「本山茶染め」です。
季節の野の花や花壇の花、花のない椛や南天など、様々な楽しみ方ができますし、落ち着いた色調は和室、洋室を問わずにお使いいただけます。
ご家庭使いのほか、結婚や新築など慶事のお祝いにもお勧めしています。伝統技法が織りなす繊細で優美な駿河竹千筋細工、ご愛用頂ければ幸いです。
- 古来より静岡・府中を流れる安倍川、その支流の藁科川流域は、良質の若竹、淡竹を産してきました。弥生時代の登呂遺跡からの出土品には竹製のザルやカゴがあり、当時から生活に根差していたと考えられています。そして江戸時代には籠枕が参勤交代の諸大名に人気を博すなど、この頃より駿河竹細工の名声は広がっていきました。
駿河竹細工の中でも最も特徴があるといわれる、丸ヒゴを使った「駿河竹千筋細工」は、安政の頃までに今日の礎が確立したと伝えられています。明治6年には、日本の特産品としてウィーンの国際大博覧会に出品し、好評を博し、以後、日本を代表する輸出品として海外の脚光を浴び、発展を重ねていきました。
「駿河竹千筋細工」は、国の伝統的工芸品に指定されています。江戸時代から受け継がれる技法を守りながら、多様化するお客様のニーズにお応えできるよう、組合員一同が日々精進努力し、より良い作品作りに全力を挙げています。
職人の手が生み出す繊細で優美な技の華を感じて頂ければ幸いです。
(静岡竹工芸協同組合 代表理事 杉山雅泰)
世界遺産にも認定された、日本を代表する山である富士山をイメージした一輪挿しタイプの花器です。花器に合う駿河和染の本山茶染花瓶敷も同梱いたします。駿河竹千筋細工の繊細な優美さが感じられる一品です。