静岡県の西伊豆田子、古くはカツオ漁が盛んで、
カツオは、地元の人々の食生活に欠かせない食材であるとともに、
江戸時代には鰹節に加工されて都市部で好評を博すなど、この地域の産業発展の礎にもなってきました。
鰹節は、江戸時代に製法が確立され、水揚げされたカツオを切って、
煮て、焙乾して、カビを付ける、といった大きく分けてこの4工程で製造されています。
発酵カビ付けを4回以上行うことで、カビの効果により雑味が抜け、
カツオの旨味を凝縮させた本枯れ節になります。
ご自宅で簡単に、鰹節の正しい削り方
かたくなに伝統製法を守る
西伊豆田子の本枯節をご自宅で
西伊豆田子で創業100年を越えたカネサ鰹節商店では、焙乾を昔ながらの手火山式などにより約10回繰り返し、20日間に1回の頻度で天日干しを6〜8回繰り返すという、仕上がりまで5〜6ヶ月を要する全国でも数少ない大変手間ひまのかかる方法で本枯節を製造しています。 この「手火山式焙乾 本枯田子節と削り箱(小)セット」は、こだわりの本枯節をご自宅に削り器のない方でもお手軽に鰹節削りをお楽しみできるよう、小さい削り箱をセットにしました。
ちょっとした
ひと手間で至福の時間を
いまでは、ご家庭で鰹節を削ることも少なくなりましたが、自ら削った鰹節でお料理の味をぐっと引き立て、豊かな時間を感じることができるのではないでしょうか。
セットにした削り箱は、手のひらサイズのビギナー向け。冷奴にかけたり、ちょっとした料理の風味づけにちょうどよい量がお手軽に削れます。キッチンに置いても場所をとらないのも魅力。気づけばマイ鰹節を携帯したくなる方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ一度、削りたての風味のよさをお楽しみください。
つくり手のこだわり
伊豆とカツオの関わりは古く、その歴史は鰹節の製法の確立された江戸時代ごろ、
また鰹節の原型ができたといわれる約600年前よりはるか前、今から約1300年前にさかのぼります。
伊豆では奈良時代の頃から租税のひとつとして「堅魚」を納めており、この「堅魚」が今も西伊豆に伝わる郷土食、
潮かつおではないかと考えられています。
カネサ鰹節商店は、静岡県西伊豆田子の海のすぐそばで、1882年の創業以来、潮かつお、鰹節作りを続けてきました。
鰹節の加工には日本国内でも数少なくなった昔ながらの手火山式焙乾法を採用しています。
手間はかかりますが、強い直火で燻すことでカツオの味が凝縮されます。
また乾燥の工程では、数ヶ月にわたり天日干しを繰り返します。
お天気にも左右されるのですが、これも含めて田子の鰹節の味に繋がっていると思うのです。
最近では削り器のないお宅も増えましたが、鰹節を削るのは意外に簡単で、削りたての香り、
削った鰹節でとっただしの味わいは、一度お試しいただければやみつきになっていただけるのではないかと思います。
(カネサ鰹節商店 芹沢安久)
いいもの探訪の担当者が、鰹節を削ってみました
ある休日に鰹節を削って味噌汁を作りましたので、その様子をご紹介します。
削りたての鰹節でだしをとります。
沸騰したお湯に鰹節を投入。800ccのお湯に20g程度が標準らしいのですが、私は濃い目が好きなので、削り器にあった鰹節を全て入れました。
1分ほど煮出したところで火を止め、キッチンペーパーで濾しました。
濾した鰹節のだし汁を鍋に戻します。
今回は豆腐とわかめという定番の味噌汁で鰹節のだしを愉しみたいと思います。
味噌を入れ、ひと煮立ちさせれば完成です。
ひとくち飲むと、鰹節の香りと味わいが広がります。削りたてならではの香りと味わいを愉しみ、優雅なひと時を過ごしました。
西伊豆田子、カツオ漁で栄えた漁師町の味を現代に伝える本枯節。かたくなに伝統製法を守り、手火山式焙乾法や繰り返し行う天日干しなど、5〜6ヶ月をかけて製造。削り器のない方にも便利な小さな削り箱とセットで。