きのこづくり一筋のプロフェッショナル
古くからきのこの栽培が盛んな長野県。全国で初めて人工栽培に成功したぶなしめじをはじめ、えのき茸、なめこはトップクラスの生産量を誇ります。秋には、品評会や料理コンクールなど様々な企画が楽しめる「信州きのこ祭り」が県を挙げて開かれ、各地域でもきのこのお祭りが催されるほど、地元の文化に深く根差した食材です。
そんな信州・千曲の地で、60年、3代にわたり、きのこ栽培一筋に取り組んできたのが「きのこ王国」。定番のきのこだけでなく、栽培が難しく流通量が少ない山伏茸やタモギ茸、トキイロヒラタケなど、様々なきのこの栽培にも挑戦し、安定した生産と商品化を実現してきました。より甘く、歯ごたえ良く、栄養価の高いきのこづくりを目指し、菌床にはトウモロコシの芯、海藻、牡蠣殻など十数種類をブレンド。この配合の追究に費やした年月は実に30年以上。そして現在も、さらなる美味しさを求めて試行錯誤を続けています。
四大珍味として珍重されてきた山伏茸
山伏茸は、かさや軸のない、白い球状の珍しいきのこ。山伏の胸飾りに似ていたことからその名が付いたという説があります。中国では400年以上も前から食され、「四大珍味」にも数えられるなど、高級食材として使用されてきました。漢方薬としても流通するほど栄養価が高いのも特徴です。日本では生産量が少なく、栽培が難しいとされてきましたが、きのこ王国では20年以上前から、いち早く安定した生産を続けています。
肉は柔らかく、内部に無数の穴があり、スポンジ状になっています。汁含みが良いため、スープや煮物にしていただくのがおすすめですが、くせのない味のため炒めもの、揚げ物など様々な用途にお使いいただけます。
- 当社のきのこは、形が良いわけではありません。それぞれ、育ちたいように軸を伸ばしています。これは、より自然の状態に近いということ。低湿度で清涼な空気に恵まれた信州、その気候にできる限り近い条件を調え、のびのびと育てることで、野趣にあふれ、甘みや旨み、食感の際立つきのこが生まれます。
きのこは高温や雑菌に弱く、たった1日で品質が落ちてしまうこともままあります。品種によって、最適な菌床の配合や気温・湿度も異なるため、一株ひと株に惜しまず手をかけねばなりません。
それでも、食べていただく人に「これまでに食べたきのこと全然違う」「また食べたい」と感じていただけることを一番の喜びとして、愛情をたっぷり注いで育てています。
日々、個性豊かな品種と向き合い続けながら生まれた私たちのきのこを、ぜひ一度、実際に味わってみてください。
(有限会社きのこ王国 代表取締役 金井幹芳)
きのこ栽培一筋に60年、品質と味わいを求めて試行錯誤を続ける農家が育てた山伏茸。漢方薬のひとつに数えられるほどの高い栄養価と、やさしい味わいが魅力です。