おとぎ草子のこと
吉廼家で人気の「おとぎ草子」は、江戸時代に短編集として出版された「御伽草子(おとぎぞうし)」になぞらえて、
練り切り、羊羹、お饅頭など、約100種の中から季節ごとに選んだ御菓子の詰合せです。
この「おとぎ草子」の話になると、ただでさえ柔和な二代目の弘介さんの目じりが一段と下がり、
スタッフの皆さんも銘々に思いを語りだします。
季節に合わせて、包みの色や添える花、そして御菓子の種類を変えるのが楽しみでならないそうです。
包みを開けた時のお客様の喜ぶ顔を想像すると、いくら時間をかけても飽きないとのこと。
お正月や成人式、ひなまつり、母の日など、「おとぎ草子」は贈り物として大人気、
その他に引き出物や内祝いにも、とても喜んでいただけるそうです。
みっつの丸のこと
新作のアイデアが浮かばずに悩んでいるとき、休む暇もないほど忙しいとき、原材料が高騰して苦しい思いのとき、どんな時もチームワークで乗り切ってきたそうで、その気持ちを忘れないように、吉廼家のスタッフが着用しているTシャツには小さい小豆が3粒描かれています。素材にこだわり、丁寧に力を合わせて作って欲しいという社長の心を表しています。
てしごとのこと
御菓子を作る「てしごと」の話になると、それまで笑顔だった社長の顔がビシッと引き締まります。「材料がシンプルだからこそ、一つ一つの所作へこだわる。当たり前だが手抜きはしない」。
実際に御菓子づくりの様子を見せていただきましたが、一旦、素材に手が触れると、それまでゴツゴツとした男性の手が、まるで女性の手のように柔らかく見えてくるのが不思議。とても柔らかく、美しい所作に、バイヤーも見とれてしまいました。
そして、使う道具もシンプル。箸、濾しざる、三角べらなどで、椿や菊の花や紅葉が形作られていく様は驚きの連続でした。
原材料のこと
入社数年目のスタッフの方も入社した時に、「きっちりした材料を使ってはるなぁ〜」と驚いたそうです。余計なものは加えず、シンプルな原材料にいいものを使う。美味しさの秘訣だそうです。
北海道の小豆、滋賀の羽二重糯米、宇治の抹茶など、ひとつひとつ社長自らが全国を飛び回って探します。
材料が高騰しても、ファンがいるからこそ、すぐに値上げをしないのがモットー。中でも波照間の黒糖には悩まされているそうです。豊作のはずが、大半をバイオ燃料用に売ったところに大型の台風が来て流通量が激減し、相場が暴騰したことも。「毎年台風来るねんから、もう少し考えてくれよー」と笑い飛ばすスタッフ。暗い話題も、吉廼家の作業場では笑い話に変わります。
「お客様からいただいたお声をもとに、御菓子の甘さなども常に柔軟に変えています」と優しい笑顔で話す社長。「お客様に喜んでもらいたい」という信念が、地元で愛されている秘訣なのかもしれません。
吉廼家のこと
そもそも吉廼家は、昭和元年、先代がこの地「北大路」で和菓子専門店を創業したことに始まります。
先代は常に「お客様の喜ぶ顔を考えて仕事しいや」「原材料はしっかりしたもん使わなあかんで」と仰っていたそうで、
その丁寧な仕事が老若男女を問わず幅広い客層につながっています。
社長が小さい頃は、店舗の上に住んでいて、どこへ行くにもお店を通るので、
和菓子屋という商売が生活の一部となり、家業を継ぐことに一切迷いはなかったとのこと。
また、お店で働く人の雰囲気が好きだったことから、「他のお店で修業したい」と思ったこともないそうです。
38歳の頃に先代が引退し、社長としてお店を継いでからも、先代の商品への思いや姿勢を受け継ぎ、
より多くの方に知ってもらおうと、お店での販売に加えて全国の百貨店の催事にも出店。
「京都に来た時には、是非足を延ばしていただいて、本店にも遊びに来て欲しい」とおっしゃります。
本店には、いちご大福やみかん大福、ぜんざいなど、季節ごとに様々な御菓子が並んでいます。
笑顔のスタッフが待つお店に、ぜひお立ち寄りください。
京都洛北 上生菓子の宝石箱
昭和元年創業の京都洛北の和菓子屋「京菓子処 吉廼家」の、可愛らしく贅沢な一口サイズの和菓子の詰合せ。重箱の中には丁寧に手作りされた色彩鮮やかな練り切りや羊羹などの上生菓子がおさめられています。
一つ一つ色、形、味が異なり、それぞれに繊細な職人の技が存分に発揮されています。上生菓子の内容は100種類もの中から四季折々に変化し、季節を感じていただけます。
重箱をあけるときのワクワク感と、目で楽しみ、舌で楽しむ、まさに和菓子の良いところを凝縮した逸品です。大切な方への手土産や、ハレの日の食卓、お茶の時間に添えれば、その可愛らしさに思わず感嘆の声と笑顔があふれることと思います。
「御伽草子」のように小さな作品の詰め合わせ 選ぶ楽しみも
吉廼家が位置する京都洛北エリアは、茶の湯文化とも縁の深い大徳寺や五山の送り火の鑑賞スポットとしても知られる船岡山など、見どころの多い山紫水明の地です。吉廼家はこの地で数々の和菓子を通じて京都の四季を人々に送り届けています。
この「おとぎ草子」は室町時代から江戸時代にかけて成立した「御伽草子」にちなんでいます。民間説話や恋愛物語など様々な掌編作品が綴り合わされて「御伽草子」が成立するように、伝統と独創性が融合した様々な小さな上生菓子をひとつに合わせて「おとぎ草子」になっています。
お菓子は2段のお重に、32個。各段にかわいらしいりんごの形の和菓子1つずつ、そのほかの30個はすべて異なる種類がおさめられています。四季折々に内容が変わりますので、どんなお菓子が詰め合わせられているかはふたを開けるまでのお楽しみ。一度開けたら今度は何から食べようか迷う楽しみも待っています。
何度ご注文いただいても、新鮮な面白さを感じていただけます。
- 「おとぎ草子」は室町時代から江戸時代にかけて成立した「御伽草子」にちなんでいます。掌編作品を合わせて「御伽草子」として編さんしているように、小さな様々な種類の和菓子をひとつにして「おとぎ草子」としました。
伝統和菓子のほか、京都の四季の移り変わりからインスピレーションを受けたオリジナルの和菓子を一つ一つ思いを込めて手作りしています。
四季折々に合わせて、京都の四季をお伝えしたいという思いで和菓子を選んで詰め合わせています。お客様には今回はどんな内容か楽しみにしていただき、ぜひそのご期待に応えられるように日々励みます。
(株式会社吉廼家 杉本祐樹)
京都の老舗和菓子店がつくる「御伽草子」にちなんだ32個すべて異なる種類の小さな京都の上生菓子を上品なお重二段に詰め合わせ。四季折々で内容は変化します。