

永年の伝統技術と職人の経験が、墨には込められている
墨としては唯一の伝統的工芸品である鈴鹿墨の歴史は古く、その発祥は平安時代までさかのぼると伝えられています。
鈴鹿の風土や水質が墨作りに適しており、鈴鹿墨は発色が良く、上品で深みがあり、基線とにじみが見事に調和します。
墨作りはほとんどの工程を手作業で行っています。夏は原料である膠が固まりにくく腐敗しやすいため、作業は10月から4月の寒い時期に集中します。原料である膠や煤の配合も、空気の乾燥や気温で日々変化します。
温度や湿度といった微妙な環境変化が出来を左右する墨作りは、伝統的な製法と職人の経験が頼りであると同時に、墨一丁一丁に込められています。

墨の香りを手軽なお香で楽しんでみませんか
墨をする香りは、不思議と人を落ち着かせます。しかし日常的に墨をすることも少なくなった現代、いつでも味わえるというものではありません。
この「鈴鹿墨のお香セット(お香立て付き)」は、墨の香りを手軽に、そして気軽に楽しんで頂けるよう、京都のお香の老舗「松栄堂」と協力し、開発された商品。お香立てもセットにし、お届けしたその日からご使用いただけます。
墨の香りは、製造工程で煤や膠の匂いを消すために使われる香料、龍脳(りゅうのう)などによるものです。龍脳は、常緑高木のフタバガキ科龍脳樹の樹脂などを加工したもので、香料の他薬用としても用いられます。大量伐採等により、最近では天然の龍脳は少なくなってきています。
火をつければ、遠く懐かしさを感じさせる墨の香りが漂い、空間に流れる時間がゆったりとしたものに変わったような感覚をおぼえます。
慌ただしく日々を過ごさなければならないことの多い方が心を落ち着かせたい時や、ふと墨の香りが懐かしくなったときに、少しの時間ではありますが皆様の日常に穏やかさをお届けさせていただければ至福のよろこびです。
- 鈴鹿墨の発祥は、延歴年間とも言われ、鈴鹿の山々に産した肥松をたいて煤をとり、これを原料として墨を作っていたと伝えられています。
鈴鹿は製墨に必要な原材料の入手がたやすく、また弱アルカリ性水質に膠のゼリー強度(凝固力)、粘度(ねばり、どろつき)を最適の状態にできるなど、地理的及び気候風土の諸条件に恵まれております。そのため墨の発色が良く、上品で深みがあり、基線とにじみが見事に調和します。
現在では、鈴鹿墨を継承する伝統工芸士は、現役では私のみとなりました。
古法を忠実に守りながら魂身製錬し、日々ご愛用頂く皆様に喜ばれますよう努力してまいりますのでぜひお手元に鈴鹿墨を置いていただければ幸いです。
(有限会社進誠堂 代表 2代目伊藤亀堂)
墨の香りは心を落ち着かせます。墨を磨らずに日常的に香りを楽しめるよう、鈴鹿墨をお香に仕上げました。陶器製のお香立てとのセットで、お届けしたその日からお楽しみいただけます。